Redmi Note 11 Pro 5Gが海水に完全水没。数日後に画面が映らなくなり、操作不能に。
多くの修理店では「Androidは対応不可」「塩水は復旧率が低い」と断られてしまったとのこと。
しかし当店では、基板の腐食を特定し、パターン断線の補修と新品パネル交換を行うことで、
データも含めて無事に復旧することができました。
今回のように、「他店で断られた水没端末」でも、状態次第では修理・復旧できる可能性があります。
水没してから時間が経っていても、諦める前にぜひ一度ご相談ください。
■ ご相談内容と受付時の状況
潮干狩り中にスマホを海へ落としてしまい、完全に水没してしまったというご相談でした。
Redmi Note 11 Pro 5GというAndroid端末で、海水に落ちたあと数日は使えていたそうですが、
4日目になって突然画面が映らなくなり、操作不能となった状態でお持ち込みいただきました。
お客様は事前に2~3店舗ほど問い合わせをされたそうですが、
「Androidだから無理」「塩水は復旧率が低い」「外注で1週間以上かかる」など、どこも厳しい対応ばかりだったとのこと。
ちなみに、すべての店舗が全国展開の有名フランチャイズ店。
まぁ結局、“手間のかかることはやりたくない”ってのが本音なんでしょう。笑
回転率、下がりますから。www
● お預かり時の外観チェック
端末は一見きれいな状態で、大きな割れや破損は見られませんでした。
ただ、海水に浸かったという時点で内部の腐食は進行していると見て間違いありません。
▲ お預かり時のRedmi Note 11 Pro 5G。Type-Cコネクタ内部、腐食してますね。
▲ パッと見では既に塩分の結晶化が進んでいます。
● 分解前の確認ポイント
分解前に、背面の浮きや圧痕、ガラスの剥離などがないかを確認。
目立った損傷は見られず、すぐに開封して内部をチェックする判断となりました。
▲ 背面やフレームの変形なし。
▲ 外装に異常はなくても、内部は別物です。
■ 分解作業と内部の腐食確認
● フレームを開けて最初に目に入ったもの
分解直後、フレームやパネル裏に白い粉のような塩分結晶が点在。
海水に浸かった端末特有の塩害で、乾燥が進むほど腐食は内部へと広がります。
海水水没の腐食は、水没から数時間で始まります。
▲ 開封してすぐに目視できた塩害の痕跡、錆が発生しています。
▲ フレーム周辺や端子部に錆や結晶化が見られました。
● 広範囲に及ぶ腐食痕
SIMスロット、充電端子、パネル裏、フレーム内部にまで腐食が広がっていました。
この時点で、有機ELパネルは交換、基板は一部補修が必要と判断しています。
▲ ミドルフレーム内部にも塩分が付着。拭き取りだけでは不十分です
● コネクタ・SIMスロット・充電端子の腐食
コネクタ類は外観上も腐食が進行しており、導通不良を起こす一歩手前。
特に充電端子・SIMスロットは分解洗浄と再処理が不可欠です。
▲ パネル裏とフレームの接触面に腐食が集中
▲ 充電端子も要清掃。腐食が深い場合は交換ですね。
▲ SIMスロット部も表面下で腐食が進んでいるケースが多い、最悪「e-SIM」を使えば問題なし。
■ 基板補修とバイパス処置
● コネクタ部の再処理と端子クリーニング
腐食除去後、基板上の接続コネクタに再ハンダ処理を実施。
表面だけでなく端子内部まで酸化が進んでいたため、微細な端子の再形成と通電チェックを行いました。
▲ 見た目は軽度でも、接点内部まで腐食が進んでいました
▲ 端子表面にわずかな変色。通電不良の原因になります
● パターン断線を確認、ジャンパー処理へ
コネクタ処置後に通電チェックを実施したところ、パターン断線が確認されました。
顕微鏡下でジャンパー処理を行い、信号ラインの迂回と再導通を確保しています。
▲ 腐食で断線したパターン、ここを見逃すと起動しません。普通であればパーツ交換か!?
でも断線1~2本ならバイパスの方が私は楽です。www
▲ ジャンパー処置により信号ラインを復旧。ここまででようやくスタートラインです
▲ 清掃・補修後。ここまで戻さないと再実装はできません
■ 修理最終工程と復旧完了
● 仮組み状態での動作チェック
基板補修とコネクタ処置が完了したら、仮組み状態で動作テストを実施。
画面表示・タッチ操作・充電・Wi-Fi通信・カメラ動作などを順に確認していきます。
水没端末は「起動しても挙動がおかしい」こともあるので、慎重な確認が欠かせません。
▲ 各端子の導通チェック。腐食が残っていないかも確認します
▲ 仮組みでの動作チェック中。すべて問題なく動作していました。
心配だった充電コネクタも問題なく、正常に充電来ました。
● パネルと背面ガラスの再装着
最終チェック後、有機ELパネルを新品に交換し、背面ガラスも再接着して仕上げます。
組立の際も、基板や配線に圧がかからないよう慎重に取り付け。
ここで慌てると仕上げで台無しになるので、最後まで気は抜けません。
▲ 古い有機ELパネルを取り外した状態
▲ 最終確認後、背面ガラスも圧着して完了です
● データ復旧成功。「あの写真」が無事だった
すべての工程が完了し、端末は無事起動。
データ領域にもアクセスでき、内部データにもアクセスできることを確認できました。
この時点では知らなかったのですが、後日いただいた口コミで「亡くなった愛猫の最後の家族写真が1枚だけ残っていたが、どうしても取り戻したかった」とあり、そのデータが無事だったことを知って、こちらも心からホッとしました。
▲ 端末は完全復旧。もちろんデータも大丈夫です。
■ 最後に。水没は“時間”との勝負です
水没復旧は、海水・真水に限らず“とにかく時間との勝負”。
時間が経てば経つほど、腐食は内部深くに広がっていきます。
今回のように、他店で断られたAndroid端末でも復旧できるケースはあります。
「もう無理かも…」とあきらめる前に、一度だけでもご相談ください。
できるかどうかは正直、開けてみないと分かりませんが、
やれるところまでは、やります。
■ 店舗情報
i-Rescue119千葉印西店
千葉県印西市草深1421-110
TEL:0476-37-7794
営業時間:不定休(事前にご連絡ください)
アクセス:北総線「印西牧の原駅」徒歩25分/ジョイフル本田千葉ニュータウン店より徒歩2分
駐車場:3台分完備