✦ REPAIR CASE STUDY
こんにちは、千葉県印西市の「i-Rescue119千葉印西店」です。
今回は、神奈川県横浜市のバイクショップ様よりお預かりしたホンダ PCX(JF28)のメーター修理事例をご紹介します。
症状は「オドメーターとトリップメーターの切り替えボタンが効かない」というもので、PCXオーナー様・バイクショップ様から当店に多くお問い合わせをいただく、定番のトラブルのひとつです。同じ症状でお悩みの方のご参考になれば幸いです。
? この記事の内容
- ホンダ PCXとはどんなバイクか
- PCX JF28・KF12 の主なスペック比較
- PCXに多い故障と当店への依頼内容
- 今回の修理内容:切り替えボタンが効かない
- 修理作業の流れ
- 当店の作業範囲と保証について
- 修理完了・お客様からのご報告
- PCXのメーター修理、全国から郵送対応
?️ ホンダ PCXとはどんなバイクか
修理事例に入る前に、PCXという車種について少しご紹介します。
ホンダ PCXは、2010年3月に国内発売が開始された125ccクラスのスクーターです。もともとは2009年にタイで先行発売されたグローバルモデルで、ヨーロッパ・東南アジア・北米・オーストラリアなど世界各地への輸出販売も行われていた、まさに「世界戦略車」と呼べる存在です。
名前の由来は「Personal Comfort X(エックス)」。ホンダにとって”X”は”究極”を意味する文字であり、「究極のパーソナルコンフォートコミューター」という開発コンセプトが込められています。
驚異の販売実績
国内発売からわずか3週間で7,400台以上を受注。これは年間販売計画台数(初代:8,000台)の約90%に相当する数字で、ホンダ自身も当初これほどの国内ヒットを想定していなかったといわれています。その後モデルチェンジを重ねるごとに人気はさらに高まり、後期のJF28では年間販売計画台数が19,000台まで引き上げられました。
PCXが支持される理由は明確です。カタログ燃費53km/L(60km/h定地走行)という優れた燃費性能に加え、125ccクラスとは思えない上質な乗り心地、25リットルのシート下収納スペース、そして当時クラス初となるアイドリングストップ機能を搭載していました。「50ccでは頼りないけれど、250cc以上は乗りこなせるか不安」という層に向けた絶妙な立ち位置のモデルで、通勤・通学からちょっとしたツーリングまで幅広く対応できる万能なコミューターとして人気を集めました。
そのPCX125の好調な販売実績を受け、2012年6月には排気量を152ccに拡大した上位モデル「PCX150(型式:JBK-KF12)」が国内に追加されました。PCX150は軽二輪(普通自動二輪免許)に区分されるため、高速道路や自動車専用道路も走行可能。通勤用途にとどまらず、ロングツーリングまで対応できる守備範囲の広さが支持を集めました。外観はPCX125とほぼ共通ながら、PCX150専用のロゴエンブレムやメッキ仕上げのパイプハンドルなど細部に上質感があり、「ワンランク上のスクーター」として根強いファンを持つモデルです。
現在もPCXシリーズは現行モデルが販売されており、中古市場でもJF28・KF12を含む歴代モデルが多数流通しています。台数が多いことで修理ニーズも必然的に増えており、当店にも全国各地のバイクショップ様・オーナー様からご依頼をいただいています。
? PCX JF28・KF12 主なスペック比較

| 項目 | PCX 125 JF28(後期型) |
PCX 150 KF12 |
|---|---|---|
| 型式 | EBJ-JF28 | JBK-KF12 |
| エンジン | 水冷4ストローク単気筒(eSP) | |
| 排気量 | 124cc | 152cc |
| 最高出力 | 12PS / 8,500rpm | 13PS / 8,500rpm |
| カタログ燃費 | 53.0km/L | 49.0km/L |
| 車両重量 | 128kg | 129kg |
| シート下収納 | 25リットル | |
| 高速道路走行 | ✕ 不可(原付二種) | ◯ 可(軽二輪) |
| 発売年 | 2010年〜2014年 | 2012年〜2014年 |
※燃費はいずれも60km/h定地走行テスト値
JF28は前期型と後期型に分かれており、2012年のマイナーチェンジで新開発エンジン「eSP」が搭載されたモデルが後期型となります。KF12はeSPエンジンを最初から搭載した状態で登場しており、エンジンの基本構造や車体の多くの部分をJF28と共有しています。今回修理したのはJF28後期型ですが、KF12(PCX150)でも同様のトラブルが発生するケースが多く、当店でも両車種のご依頼を承っています。
⚠️ PCX(JF28・KF12)に多い故障と当店への依頼内容
PCX JF28・KF12は世界的にも販売台数が多いモデルだけに、経年による部品の劣化トラブルも各地で報告されています。当店に寄せられる依頼で特に多いのは以下の2つです。
① LEDバックライト切れ
メーター内部の照明が消えて夜間に表示が見えなくなるトラブルです。バックライトに使われているLEDが寿命を迎えることで発生します。当店では新品LEDへの打ち替え修理(LED打ち替え)を承っており、多くのご依頼をいただいています。
② オドメーター・トリップメーター切り替えボタンの故障
今回ご紹介する修理内容がこちらです。走行距離の表示を切り替えるボタンが反応しなくなるトラブルで、JF28・KF12ともに非常に発生率が高い箇所です。PCX125・PCX150でメーター周りの基本設計を共有していることから、両車種で同様の症状が起きやすくなっています。
? どちらも「メーターアッセンブリー(ユニット丸ごと)交換」になると費用が大きくなりますが、当店では内部の電子部品を個別に交換する基板修理で対応できるケースが多く、大幅なコストダウンが可能です。
? 今回の修理内容:切り替えボタンが効かない
症状の確認
今回お預かりしたPCX JF28は、オドメーター(総走行距離)とトリップメーター(区間走行距離)を切り替えるボタンが効かなくなっているという症状でした。

? 具体的な症状
- ボタンを押しても全く反応しない
- かなり強く押し込むと、かろうじて反応することがある
- 反応するタイミングが不安定で、操作感がおかしい
この症状の原因として最初に疑うのが、ボタン内部の「タクトスイッチ」と呼ばれる小型の電子部品の劣化です。タクトスイッチとは、ボタンを押したときに電気信号を発生させる部品で、家電製品やバイクのメーター、自動車の各種スイッチなど、身近なさまざまな機器に使われています。使用回数や年数を重ねることで内部の接点が摩耗・劣化し、ボタンを押しても正常に反応しなくなります。
テスターで導通チェック
まず、テスター(電気の流れを確認する計測器)を使ってボタンの導通チェックを行いました。正常なスイッチであれば、ボタンを押した瞬間にテスターが「ピー」と反応し、電気が流れていることを示します。今回のスイッチは、ボタンを押しても反応しないタイミングが多く、強く押し込んだ場合にのみ反応するという不安定な状態でした。
この結果から、タクトスイッチの不良と確定し、交換作業へ進みます。
? 動画:交換前の導通チェックの様子
▲ ボタンを押しても反応しない・不安定な状態を確認(音量を上げてご覧ください)
⚠️ 導通チェックの段階でスイッチが正常に反応している(導通が問題ない)場合は、タクトスイッチ以外の原因が考えられるため、当店での対応が難しくなるケースもあります。その場合はメーターユニット丸ごとの交換(アッセンブリー交換)が必要になる可能性があります。
? 修理作業の流れ
使用する部品について
今回使用するタクトスイッチは、サイズが「6×6×5mm」という小型の特殊規格品です。一般的な市販品とはサイズや仕様が異なるため、適合する部品を用意する必要があります。当店では同様の修理依頼を多数いただいているため、対応部品を常時ストックしており、即日対応が可能な体制を整えています。
旧部品の取り外し

基板上に取り付けられた古いタクトスイッチを、ハンダごてを使って取り外します。この作業で最も重要なのが「高温を短時間で」という点です。ハンダ付け作業では必然的に熱を加えることになりますが、基板に長時間熱を当て続けると、基板そのものにダメージを与えてしまいます。最悪の場合、基板が損傷して修理不能になることもあるため、取り外しは素早く行うことが鉄則です。


適切な温度管理と熟練した作業によって、旧部品を取り外した後の基板には損傷が一切ありませんでした。取り外し後は丁寧に下地処理(ハンダの残りカスの除去・クリーニング)を行い、新しい部品を取り付ける準備を整えます。
新しい部品の取り付け

下地処理が完了したら、新しいタクトスイッチをハンダ付けで取り付けます。取り付けの際も「素早く」という点は変わりませんが、もうひとつ注意が必要な点があります。タクトスイッチの黒いケース部分(樹脂製)は熱に弱く、高温に晒すと溶けて変形してしまいます。基板を守るだけでなく、新しい部品も傷めないよう細心の注意を払いながら作業を行います。

取り付け後の導通チェック
新しいタクトスイッチを取り付けたら、再度テスターで導通チェックを実施します。ボタンを押すたびにきちんと反応することを確認し、作業完了となります。
? 動画:交換後の導通チェックの様子
▲ 交換後はボタンを押すたびに安定して反応。不具合の改善を確認(音量を上げてご覧ください)
? 当店の作業範囲と保証について
? ご確認ください
- 当店は電子機器・基板の修理専門店であり、自動車分解整備事業者ではございません
- 修理後のメーターを実際の車両に取り付けた状態での動作確認は承っておりません
- 当店での作業は「部品単体での修理・動作確認(卓上確認)」までとなります
- 車両側の要因による不具合は保証の対象外となります
実車に取り付けた後に症状が改善しない場合は、タクトスイッチ以外の部分に原因がある可能性が考えられます(メーター内部の他の基板部品の不良、車両側の配線トラブルなど)。その際はバイクショップ様での点検・アッセンブリー交換をご検討ください。
✅ 修理完了・お客様からのご報告

今回の修理は、タクトスイッチの交換と導通確認をもって完了となりました。
? ご依頼者様よりご報告
「実車に取り付けたところ正常に動作しています。即日で対応していただき、大変助かりました。またお願いします。」
— 神奈川県横浜市 バイクショップ様
こういったご報告が届くたびに、この仕事のやりがいを感じます。
? PCXのメーター修理、全国から郵送対応しています
当店では、PCX125(JF28)・PCX150(KF12)のメーター修理を、全国のバイクショップ様・個人オーナー様から郵送でお受けしています。
? こんな方におすすめです
- 近くに対応できるバイクショップが見つからない
- アッセンブリー(ユニット丸ごと)交換は費用が高すぎる
- 中古メーターへの交換はオドメーターの距離が変わってしまうので避けたい
- バイクショップ様で対応できず困っている
修理対応できるかどうかは、事前のお問い合わせでご確認いただけます。症状・車種・型式をお知らせいただければ、対応の可否や費用の目安をお伝えします。お気軽にご相談ください。
? 関連する修理事例
当店ではPCXのメーター修理以外にも、バイク・車のメーター・スピードメーター修理を多数承っています。参考になりそうな修理事例もあわせてご覧ください。
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❓ よくあるご質問
✦ CONTACT
i-Rescue119 千葉印西店
? 千葉県印西市草深1421-110
? 営業時間 10:00〜20:00(不定休)
郵送修理の流れや送付先については、お電話にてご確認ください。
※本記事に掲載している修理事例は、実際にご依頼いただいた内容をもとにご紹介しています。修理の可否・費用は状態によって異なりますので、まずはお気軽にご相談ください。

